エルゼビアの引用カルテル摘発で3人目の編集者解雇
概要
- ElsevierがRIBAF編集長交代を発表し、背景に大規模な引用カルテル疑惑が浮上
- 前編集長John Goodellの論文数と被引用数が近年異常に増加
- 編集者間での“論文ギフト”や相互引用による不正な業績操作
- 多数の論文が不正に発表され、出版倫理違反の疑い
- Elsevierの対応は限定的で、根本的な問題解決には至らず
ElsevierとRIBAFにおける編集長交代と疑惑
- 2026年4月、Elsevierは学術誌**Research in International Business and Finance (RIBAF)**の新編集長就任を発表
- 前任のJohn Goodell(University of Akron教授)は本来2027年まで任期だったが、突然の交代
- 関係者によると、Goodellの退任は、2か月前に発覚した引用カルテル問題が直接の原因
- 同じくElsevierから解雇されたBrian LuceyおよびSamuel VigneはGoodellの共著者
John Goodellの論文数と被引用数の異常な増加
- Goodellの論文発表数(2008〜2020年)は年間2〜13本と通常範囲
- 2021年以降、年16〜58本と爆発的に増加
- その多くはLuceyやVigneが編集するElsevier誌で発表
- 例:International Review of Financial Analysisで47本、Finance Research Lettersで66本など
- 合計125本以上が“腐敗した”雑誌で発表され、引用数も急増(2025年は4,203件)
- これらはギフトオーサーシップや引用ファーミングによる業績操作
論文ギフトと引用カルテルの手口
- GoodellがRIBAF編集長として論文投稿者に自分の名前を共著として追加させ、見返りに掲載を保証
- 同時に、他誌でもGoodellを共著に加えることで相互に業績を水増し
- 例:Emmanuel Abakah(University of Ghana)やAnna Min Du(Edinburgh Napier University)との共著・掲載パターン
- Anna Min Duは2024-2025年だけでRIBAFに22本掲載し、GoodellもDuの論文14本で共著
- これらの論文の多くは、Google Scholar等での表示や非表示を繰り返し、透明性に疑問
Elsevierの対応と残る問題
- Elsevierは一部編集者を解雇したが、問題の論文の大半は未撤回
- 編集者が自らの利益のために査読プロセスを私物化した構造的問題
- RIBAFだけでなく、Elsevierの複数誌で同様の不正が横行
- 出版倫理上、数百本規模の論文撤回が本来必要だが、出版社側はスキャンダルの拡大回避を優先
- 根本的な改革や透明性確保が求められる現状
まとめ
- 学術出版最大手Elsevierで発覚した大規模な引用カルテルと論文ギフト問題
- 編集長交代は一時的な対応に過ぎず、構造的腐敗の解決にはほど遠い
- 多くの研究者が不正に関与し、学術界の信頼性が大きく揺らいでいる現状
- 今後の出版社・学会の対応と、透明性の確保が強く求められる