「バイブコーディング」プロトタイプと実用製品の間の100時間のギャップ
概要
- vibecodingでアプリ開発を行った100時間の詳細な体験記
- 「30分でアプリ完成」の現実と実際の開発のギャップを検証
- AIツールを使いながらも本番品質を目指した苦労と工夫
- UI/UX設計、インフラ構築、ローンチまでの課題と学び
- AI時代の開発で大切なことと、今後の展望についての考察
vibecodingの現実:100時間で学んだこと
- **「30分でアプリ完成」**という言説の現実性を疑問視
- 単純なコピー、バグだらけ、エンゲージメント目的の投稿が多い印象
- AI活用の経緯
- 2023年末、前職スタートアップでAIコーディングを導入
- LLMの精度不足やOSSプロジェクトでの懸念もあったが、早期導入で優位性を獲得
- GPT-4 preview、Claude、Cursorなどを活用
- AIの限界を見極めたかった理由
- Kiwiでのvibecoding経験や、Python/JS/スマートコントラクトの実践経験
- インフラの隠蔽されたReplitやLovableを避け、自分で全工程を体験したかった
- SLC(Simple, Lovable, Complete)モデルを採用
- Jason Cohenの提唱するSLCを目指し、「Cryptosaurus」アプリを企画
- pfp(プロフィール画像)を恐竜化するシンプルな構成
プロトタイプ作成から本番品質への道
- プロトタイプは1時間で完成
- ChatGPTやOpus 4.5、Gemini APIを使い、最初の動作確認までスムーズ
- デザイン・UI/UXの壁
- Coolorsでカラーパレット選定、UIの再設計を何度も繰り返し
- ClaudeのUI提案が複雑化し、Figmaを使えば10倍速いと実感
- LLMへのプロンプトと確認・修正の繰り返しで時間がかかる
- 画像生成のチューニング
- edge caseのpfpで画像生成が崩れるため、プロンプトやスクリプトを200回以上調整
- prompt.tsは274行に膨れ上がる
インフラ構築と本番公開への苦闘
- 独自ドメイン取得とVercel/AWS構築
- Cloudflareでドメイン取得、Vercelでフロント、AWS(S3/Lambda)でバックエンド
- AWSの複雑さに苦戦しつつ、LLMの指示で何度も修正
- Farcaster Mini App対応
- テスト環境の制約や、マニフェスト・noindex対応、複数アカウント運用
- モバイルUIとMini App UIの不具合修正に時間を要する
- NFTミント・スマートコントラクトのセキュリティ強化
- onlyMinterの設定やSafeによる権限管理
- 100人同時利用時のスケーラビリティ対策、レートリミット・有料APIへの移行
ローンチとその後の課題
- 事前登録500人、ローンチ直後にシステム障害
- 複数人同時利用でAPIが正常動作せず、支払いのみ通るバグ発生
- 迅速な返金対応とDMでユーザー満足度を維持
- 最終的な成果
- 1,000人以上がダウンロード、180人以上が有料購入($2)
- Farcaster Mini AppストアでTOP3入り
- SLCとしては十分な成果と自己成長を実感
振り返りとAI開発の本質
- 「30分で完成」と「本番品質」のギャップ
- プロトタイプは早いが、UI/UXやエッジケース対応、本番運用で100倍の時間
- ユーザー体験や品質へのこだわりが時間を要する主因
- AI活用の工夫
- LLMごとの特性を理解し、シンプルな設計を指示
- フローチャートや設計図の作成をAIに任せて効率化
- デザインはFigmaなど専用ツールと併用することでストレス軽減
- エンジニア経験の重要性
- LLMでは解決できない細かなバグやUI問題は、経験豊富なエンジニアの助けが不可欠
- 高度な問題は人間の知見が最速
- AI時代の開発体験
- かつての「手を動かすクリエイティブな楽しさ」は薄れ、今は「デジタル従業員への指示役」に
- それでも、反復作業が減り、より多くの創造に時間を使えるメリット
- 「最後の10%」こそがプロダクトの質を分ける
まとめと今後
- Tom Cargillの名言「最初の90%が開発時間の90%、残り10%が残りの90%」を実感
- AIで最初の90%は高速化、残り10%でクラフトマンシップを発揮できる時代
- Lovableなアプリを作るためには、細部へのこだわりが不可欠
- vibecodingは「つまらない作業」を減らし、より良い体験創出の余地を広げる
- 今後も「楽しくものづくり」できる環境を大切にしたい
謝辞・参考
- Cryptosaurusの体験はFarcasterのMini Appで公開中
- Pugson、Kris Kaczor、Sayangelに感謝
- Stage 2ではdinoで遊べるゲーム機能を追加予定