政府の助成金による研究は営利ジャーナルに掲載されるべきではない
概要
- アカデミアの給与体系や評価基準の矛盾を指摘
- 科学論文出版の現状と出版社の利益構造を解説
- SciHubやAaron Swartzなど、現状打破の試みを紹介
- オープンアクセス政策の限界と政府の役割を提言
- 利益目的の学術出版社排除の必要性を主張
アカデミアの給与と評価の矛盾
- STEM分野では、大学から教育のために給与を受け取るが、昇進や評価は研究実績による
- 研究費は主に連邦政府からの助成金に依存
- 研究成果は論文として発表し、評価や昇進の基準となる
学術論文出版の仕組みと問題点
- 論文は査読付きジャーナルに投稿され、編集者や査読者が無償で評価
- 論文が受理されると、著作権は出版社に移り、著者が掲載料を支払う場合も多い
- 出版社は論文を有料で公開し、大学や研究者に再度購読料を請求
- 大学はこれらの費用を間接経費として政府助成金から支出
- 出版社の**利益率は約40%**で、Microsoftより高い水準
出版社の歴史的経緯と現在の役割
- 戦後、論文数増加に対応するため民間企業が出版業務を引き受けた経緯
- Springer Nature, Elsevier, Wileyなど大手出版社が市場を独占
- インターネット普及後も、電子化によるコスト削減が価格に反映されず、逆に高騰
- 実質的なサービスはPDFの校正・保管程度に縮小
SciHubとAaron Swartzによる現状打破の試み
- SciHubはKazakhstan出身のAlexandra Elbakyanが運営し、世界中の研究者が利用
- 多くの大学が購読費節約のため契約を打ち切り、研究者は海賊版に依存
- 米国でもAaron Swartzが大量の論文をダウンロードし、起訴後自殺
- これらの行動は、現行システムが**規則違反によってのみ「機能」**している現実を示す
オープンアクセス政策とその限界
- 研究者自身によるオープンアクセスジャーナル創設やプレプリント利用の増加
- しかし、個人の努力ではシステム全体の変革は困難
- 米国政府は助成金で研究を支援しつつ、営利出版社を通じて三重に費用を支払う非効率
- Diamondオープンアクセス(著者・読者とも無料)は全体の約10%に留まる
- 集団行動問題として、政府による規制が唯一の解決策
政府の役割と今後の提案
- 助成金の条件として、「営利出版社での出版禁止」を明記すべき
- Biden政権による「オープンアクセス」義務化は、実質的に出版社の利益構造を温存
- **Article Processing Charge(APC)**の高騰(例:1論文12,000ドル)で、結局は税金負担
- 本質的な解決には、非営利出版モデルや公共インフラの整備が不可欠
まとめ:なぜ今、営利出版社を排除すべきか
- 研究成果は公共財であり、納税者が三重に支払う現状は非合理
- インターネット時代における出版社の役割の形骸化
- 政府による集団的な規制とシステム再設計の必要性