なぜシニアエンジニアは悪いプロジェクトを失敗させるのか
91日前原文(lalitm.com)
概要
- シニアエンジニアになると、「正しいこと」と「効果的な行動」の違いを痛感
- 悪いプロジェクトを止めるべきか、影響力の使い方が重要
- 影響力は有限資産と捉え、戦略的に使うべき
- 発言のタイミングと方法を見極める判断基準
- 関与しない選択肢や、長期的視点での対応も必要
シニアエンジニアの影響力と「悪いプロジェクト」への向き合い方
- 若手時代、上司が他チームの「問題あるプロジェクト」について愚痴るも、直接介入しない姿勢に疑問を持った経験
- 自身が成長し、同じ状況に直面した際、「なぜ直接言わないのか」と問われ、考え方が変化したことを自覚
- 「正しいこと」と「効果的な行動」は異なるという認識
- 大企業では「悪いプロジェクト」への指摘は大事だが、やりすぎは逆効果
- シニアになるほど**「聞く耳を持たない相手」に時間を割く無意味さ**を理解
- 「悪いプロジェクト」の例:UXの複雑化、技術的過剰設計、政治的動機など多岐
- プロジェクトの良し悪しは主観的で、結果が明らかになるのは数年後が多い
- シニアになると「ソフトウェアの“センス”」が磨かれ、直感的に「これはダメ」と感じる場面が増加
失敗例と学び:Googleでの実体験
- Google内で発表された「画期的プロジェクト」が政治的障壁で失敗した事例
- プラットフォームチームがフラッグシップ製品のコア機能を掌握しようとしたが、PMやリードが権限移譲を拒否
- 数年にわたる遅延・最終的な「戦略的ピボット」で終了
- 技術的優秀さだけでなく、政治的調整や正しい問題設定の重要性を痛感
なぜ全ての「悪いプロジェクト」を止められないのか
- 指摘や反対を繰り返すと**「ネガティブな人」扱い**されやすい
- ソフトウェア企業はスピード重視文化で、懸念は「邪魔」と受け取られることも
- 他人の昇進や幹部の「お気に入りプロジェクト」に反対することで人間関係悪化リスク
- 悪いプロジェクトの数は無限、個人のリソースは有限
- 介入しすぎるとシニカルになり、消耗する危険性
影響力を「銀行口座」として管理する発想
- 影響力は有限資産であり、日々の信頼構築や成果で「貯金」される
- 重要な場面で「引き出し」し、無駄遣いしないことが肝要
- $5チェック:コードレビューの細かい指摘
- $500チェック:アーキテクチャ決定への異議
- $50,000チェック:VPの重要案件への反対
- 小さなことに毎回「ノー」と言うと、本当に止めたい時に影響力が枯渇
- 影響力が「マイナス」になると、意見が無視され、仕事にも悪影響
影響力を使うべきタイミングの判断基準
- 自分の専門性が十分かを謙虚に見極める必要
- 発言は「事実の宣言」ではなく「一意見」と認識
- 3つの観点で判断
- プロジェクトの距離感:自チームに近いほどコスト低
- 自チームへの影響度:影響大なら発言価値高
- 会社全体への影響範囲:失敗時の「被害半径」が大きいほど慎重に検討
「悪いプロジェクト」への具体的な対処方法
- 直接介入(核オプション):プロジェクト中止を強く主張
- 本当に危険な場合や自チーム存亡に関わる時のみ
- 強い懸念表明:直接チームと会議やドキュメントで議論
- チーム自身に再考を促す
- 小さな介入:設計レビューや助言で方向修正
- 1時間の助言で数ヶ月の損失回避
- 「邪魔者」ではなく「協力者」として認知されやすい
介入しない場合の戦略
- 政治的コストや影響度が小さい場合は静観も選択肢
- チームへの影響が大きい場合は依存度を下げる・抽象化でリスクヘッジ
- 「悪いプロジェクト」も本質的な課題や気づきがある場合が多く、長期的に活かす視点も重要
まとめ
- シニアエンジニアは影響力の使い方が問われる
- 全ての「悪いプロジェクト」には介入できない現実
- 影響力の戦略的運用と、発言・沈黙のバランス感覚がキャリアの成否を左右
- 専門性・影響範囲・タイミングを見極め、最適なアクションを選択することが大切