スノーデンのPDFからメタデータバージョン分析を通じて抽出された新情報
97日前原文(libroot.org)
概要
- Snowden文書公開時、米国内諜報施設の詳細部分が意図的に削除
- PDFメタデータ解析で、削除前のバージョンに隠された情報を発見
- 削除されたのは米国内NRO施設の運用名やカバーネーム構造
- 公開されたのは海外施設(Menwith Hill、Pine Gap)の詳細のみ
- 次回はPDFメタデータの技術的解析と失敗した編集事例を解説予定
米国内NROミッション・グラウンド・ステーション情報削除の実態
- 2016年、2017年にThe InterceptおよびAustralian Broadcasting Corporationが公開したPDF文書のメタデータを解析
- 米国内施設に関する詳細な説明が、公開前のバージョンには存在し、公開版からは完全に削除
- 単なる黒塗りではなく、テキスト自体が削除され、PDFのバージョン履歴にのみ痕跡が残存
- 削除前バージョンには、以下の米国内施設情報が記載
- Potomac Mission Ground Station (PMGS)(ワシントンD.C.、カバーネーム:Classic Wizard Reporting and Testing Center, CWRTC)
- Consolidated Denver Mission Ground Station (CDMGS)(デンバー、カバーネーム:Aerospace Data Facility, ADF)
削除された具体的内容
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PMGS(CWRTC)
- 位置:Naval Research Laboratory(ワシントンD.C.)
- 公的説明:海軍の通信・報告システムのソフトウェア開発・運用支援
- 実際の機能:NROの衛星諜報ネットワークのミッショングラウンドステーション
- 「カバーストーリー自体が秘密(S//TK)」という多層的分類体系
- カバーネーム「CWRTC」は非機密、運用名「PMGS」はS//TK(秘密)
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CDMGS(ADF)
- 位置:Buckley Space Force Base(コロラド州オーロラ)
- 公的説明:Aerospace Data Facility-Colorado(ADF-C)として公開
- 実際の機能:NROの偵察衛星の指揮・管制
- 「Aerospace Data Facility」はカバーネームであり、実運用名「CDMGS」は非公開
分類表の構造とカバーネーム運用
- Pine Gapガイドの分類表で、各施設の運用名・カバーネーム・関連機関の分類を可視化
- 例:CDMGS(本名)+ADF(カバー名)+FSD(Field Station Denver, カバー名)
- 例:PMGS(本名)+MSF(カバー名)+CWRTC(カバー名)
- 米国内施設はカバーネームが二重(例:ADF+FSD)、海外施設は一重
- 米国内施設の運用名・実態はS//TK(秘密)、カバーネームや一部機関名は非機密やFOUO(内部限定)
- 議会監督や国内法規制、複数の説明責任への配慮と推察される多層的なカバーネーム戦略
編集過程の証拠と公開判断
- PDFメタデータから、編集・削除のタイムスタンプや使用ソフト(Nitro Pro 8)を特定
- 2017年Pine Gapガイドでは、公開3週間前に2分間でバージョン1(CDMGS記載)→バージョン2(CDMGS削除)へ編集
- The InterceptとABCが同一ファイルを共有し、編集は一度のみ実施
- 2016年Menwith Hillガイドも、米国内施設部分のみ徹底削除
- 編集方針や削除理由について、調査報道担当記者Ryan Gallagher氏に問い合わせたが、回答なし
今後の技術解析予告
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次回はPDFメタデータから可視化される編集・削除プロセスの技術的詳細を解説
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NSA職員名、スクリーンショット、監視データなどの編集履歴や、失敗した編集(黒塗りでもコピペ可能な例)も紹介予定
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pdfresurrect等のツールでバージョン抽出が可能
- Menwith satellite classification guide(バージョン1・2)
- NRO SIGINT Guide for Pine Gap(バージョン1・2)
まとめ
- Snowden文書の公開版は、米国内NRO施設の実態を意図的に隠蔽
- PDFメタデータ解析で、削除過程と隠された情報の存在が初めて明らかに
- 米国内施設の運用名・カバーネームの多層管理が判明し、情報公開と機密保持のバランスが浮き彫り
- 今後は技術的側面と編集失敗事例の解説へ続く予定