アメリカ後のインターネット
101日前原文(pluralistic.net)
概要
- 本記事はCory Doctorowが39C3(Chaos Communications Congress)で行った「ポスト・アメリカン、enshittification耐性インターネット」講演の日本語要約
- EFFでの25年間にわたる「汎用コンピューティング戦争」の経験
- アメリカ主導のanticircumvention法(回避禁止法)の世界的拡大とその影響
- トランプ政権下での国際的なデジタル主権の高まりと新たな連携
- 今後の勝機と、anticircumvention法撤廃による新たなイノベーションの可能性
ポスト・アメリカン・インターネット:39C3講演要約
- Cory Doctorowは**Electronic Frontier Foundation(EFF)**で25年以上活動するデジタル権利擁護者
- EFFでの活動の中心は「汎用コンピューティング戦争」という、ユーザーによるデジタル機器制御権を巡る闘争
- 初期の闘いは「Broadcast Flag」規制(デジタル機器に企業指定のバックドア義務化)への反対訴訟で勝利
- しかし、anticircumvention法(回避禁止法)による規制が世界中に拡大し続けている現状
- この法律は、メーカーが認めない形で製品やサービスの機能を改変することを犯罪化するもの
- アメリカでは**DMCA(1998年)**のSection 1201が有名で、違反初犯で5年の懲役・50万ドルの罰金
- EUも**EU著作権指令(2001年)**で同様の条文を導入
- 多くの国でこの法律が導入された理由は、**アメリカとの自由貿易協定(FTA)**の締結条件として強制されたため
- オーストラリア:米豪FTA
- カナダ・メキシコ:USMCA
- 中南米諸国:CAFTAや二国間FTA
- これらの法律により、アメリカ企業によるデータ・資金収奪が合法化
- 各国政府がこれを受け入れた背景には、アメリカ市場(例:コーヒー輸出)の喪失を恐れた経済的事情
- トランプ政権以降、関税政策による経済摩擦が発生
- 多くの国は「譲歩」か「報復関税」のどちらかで対応
- しかし、これらは効果的でない(自国経済への打撃やアメリカの要求拡大を招くのみ)
- 第三の選択肢として、anticircumvention法の撤廃を提案
- これにより、自国の技術者や投資家がアメリカ製品の「enshittification(改悪)」を解除する製品・サービスを開発可能
- 例:John Deereトラクターの修理制限問題
- 新たな国際連携の可能性
- デジタル権利活動家に加え、自国経済発展・デジタル主権を重視する新たな勢力が連携
- この連携により、「汎用コンピューティング戦争」での勝利が現実的なものに
汎用コンピューティング戦争とanticircumvention法
- anticircumvention法とは、メーカーが許可しないデジタル製品の改変・調査・報告を犯罪とする法律
- この法律の導入は、アメリカの貿易圧力が主因
- 世界各国が自国民の権利や経済よりも、アメリカ市場との取引維持を優先した現実
- トランプ政権による関税政策で、従来の「従属」か「報復」以外の選択肢が現実味を帯びる
- anticircumvention法の撤廃により、イノベーション促進・自国産業の競争力強化が可能
新たな国際連携と勝機
- トランプ政権の混乱が、アメリカ中心のデジタル規制体制に亀裂を生じさせる契機
- デジタル権利擁護者、経済ナショナリスト、デジタル主権派などの新たな連携
- この連携が「ポスト・アメリカン・インターネット」構築の原動力
- 今こそ、anticircumvention法撤廃による「enshittification耐性インターネット」実現の好機