概要
- アメリカではダム撤去が進み、川の自然な流れと生態系が回復中
- 歴史的にダムは産業や農業に貢献したが、魚の遡上や生態系に悪影響
- ダム撤去は生物多様性の回復や地域社会の意識変革も促進
- 撤去には経済的・社会的・行政的な課題も残る
- 今後の課題は資金・政策・社会意識のさらなる改革
アメリカのダム撤去と川の再生
- ダム は川の流れをせき止め、 農業・工業・家庭・レクリエーション など多目的利用
- ダムの水流を利用した 水力発電 も普及
- 老朽化したダム は全米で撤去が進み、川の自然回復が進行
- 1859年、マサチューセッツ州ビレリカでは 農民と作家Henry David Thoreau がダム撤去を求めて調査
- Thoreauはダムが 魚の遡上阻害 や農地への悪影響を批判
- 当時は撤去されなかったが、近年は Talbot Mills Dam も撤去予定
ダム撤去運動の拡大と成果
- 1912年以降、 アメリカで2,300基以上 のダムが撤去
- 2024年には Klamath River の大規模撤去で400マイル以上の生息地が復元
- Elwha River などでもサケ類の生息地が回復
- 東部州でも撤去が進み、 Vermont、Maine、New Hampshire、Pennsylvania などで小規模ダム撤去が相次ぐ
- それでも 35,000基以上 のダムが東北部に残存
ダム撤去による生態系の変化
- Great Bay流域 では、かつて多くの 回遊魚 (アトランティックサーモン、シャッド、アメリカウナギ、アリワイズ等)が生息
- ダム建設により アリワイズ(川ニシン) などの激減
- 科学者Nathan Fureyは、撤去後の魚の遡上状況を PITタグ などで調査
- ダム撤去は 魚の回帰・生態系の回復 に寄与
- 住民の意識や文化的記憶の回復にもつながる
小規模障害物の課題と新たな取り組み
- 主流の大規模ダムだけでなく、 支流の小規模障害物 も生態系回復の鍵
- 例: Penobscot River では支流のダム撤去で ランプリー(ヤツメウナギ) の個体数回復
- ランプリーの遡上は他の魚や生態系にも栄養を供給
- 支流ネットワークの保護と接続が 生態系全体の生産性維持 に重要
ダム撤去に対する地域社会の反応
- 一部住民は 歴史的価値やレクリエーション価値 からダム保存を主張(NOOMBY現象)
- しかし、 経済的・生態学的合理性 が支持を集め、撤去が進む例も増加
- Mill Pond Dam (New Hampshire)は住民投票で撤去が決定
- Plymouth, Massachusetts では、ダム撤去後にアリワイズの遡上が20万匹超に増加
ダム撤去の課題と今後の展望
- 撤去には 資金・許認可・行政手続き など複雑な課題
- 水力発電ダムの撤去は エネルギー供給 とのバランスも課題
- 政府の 予算削減や政策遅延 も障害
- 成功事例の拡大には 社会的意識改革・持続的な資金・政策支援 が不可欠
- 「豊かな自然への近接体験が人々を変革する」 という認識が広がりつつある
歴史と未来をつなぐ川
- ダム撤去は単なる土木作業ではなく、 地域の歴史と未来をつなぐ再生プロジェクト
- 魚や川の回復は 生物多様性の復元だけでなく、地域文化や社会の記憶の回復 にもつながる
- 持続可能な川づくりには 政策・技術・社会の総合的な取り組み が必要
参考情報
- 本記事はbioGraphicによる元記事を編集・翻訳
- 関連記事:「Removing a Dam Can Be a Net Win for the Planet」など