概要
- 86Box は古いPCのハードウェアレベルエミュレーションを行うソフトウェア
- エミュレーション性能は シングルコア性能 が最重要で、コア数はほぼ影響なし
- Mac Mini M6 はApple Siliconの高いシングルコア性能で際立つ
- 安定した100%エミュレーション速度が体感品質に直結
- M6はM4より20%高いクロックで安定動作が可能
86Boxがシングルコア性能を重視する理由
- 86Box はCPUタイミングやチップセット動作、バス、グラフィック、サウンド、ディスクコントローラなどを厳密に再現
- その結果、 エミュレーション処理の大半が1つのホストスレッド に集中
- マルチコアCPUでも コア数増加による恩恵はほぼなし
- 重要なのは1コアの速度と、その速度を維持できるかどうか
- Apple Silicon(特にM6)は シングルコア性能が高く、スロットリングも少ない ため理想的
テスト環境とマシン構成
- 使用マシン
- Mac Mini M6 (12コアCPU、24GB RAM)
- Mac Mini M4 (10コアCPU、16GB RAM)
- テスト用86Box 6.0は2026年5月31日リリース版をベースに一部改造
- ARM向けCPUエミュレーション性能向上
- Voodooグラフィック用ARM64 JITリコンパイラ追加
- エミュレーション構成
- Slot 1マザーボード + Pentium II(Deschutes)、クロック可変
- 256MBメモリ、Voodoo 3 VGA(16MB、2スレッド)、Windows 98 SE
- Cinebench 2000とWinamp 2.76による同時負荷
100%エミュレーション速度の重要性
- 86Boxは 目標クロックに対するエミュレーション速度を%で表示
- 100%未満になると、実時間とズレて正しく動作しない
- オーディオはリアルタイム処理のため、 瞬間的な低下でも音切れが発生し体感品質が低下
- 安定して100%を維持できるクロックが そのマシンの限界値(天井)
テスト方法
- 独自ビルドで 50MHz刻みで800MHzまでクロック設定
- 500~800MHzまでのエントリを追加し、メモリ・キャッシュタイミングも調整
- 各クロックごとに Cinebench 2000 + Winamp再生で安定性検証
- 音切れや速度低下が一度でもあれば失格
- 結果
- M4は500MHzで安定、M6は600MHzまで100%維持
- 600MHzはM4より 20%高いクロックで安定動作
エミュレーションスコアと実機比較
- エミュレートされたPentium IIのCinebench 2000スコアは 実機より高め
- 例:450MHzで7.02CB(実機は4.35CB)
- 600MHzでは9.28CB(実機800MHz Coppermineと同等)
- メモリ帯域やキャッシュタイミングの違いが影響している可能性
- 86Box v3.0時点でP6系エミュレーションは完全再現ではない旨の記述あり
ホストマシンの動作状況
- 86Boxは 2つの高性能コア(例:cpu6, cpu7)に負荷集中
- M6では600MHz時に 約4.7GHzで45~49%使用率
- パッケージ全体の使用率は最大26%程度
- M4は約3.7GHzで動作し、500MHzが限界
Mac Miniの評価
- Mac Mini M4 でも500MHz Pentium IIが安定動作
- Mac Mini M6 では600MHzまで伸び、音切れなく3DMarkデモも完走
- 静音・小型・低価格(€1,600未満)で 優れたレトロPCエミュレーション環境
- シングルコア性能の高さが 体感できる数少ない用途
補足:パワー・サーマル・ゲームベンチ
- M6の電力・発熱測定は powermetrics対応待ち
- Cyberpunk 2077等の 最新ゲームは12コアGPUが主役 となるため本記事の主眼外
このように、 86Boxのエミュレーション性能はシングルコア性能が支配的 であり、 Mac Mini M6のような高性能シングルコア搭載機が最適 であることが実証されました。
エミュレートされたラマのムチ、なんて時代に生きてるんだろう。